第53章 天命
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『寒い時は首を温めるといいんだよ』
冬の寒い日に舞に言われたことを思い出し、結鈴は荷物の中からタオルを引っ張り出した。
結鈴「よい、しょっっと」
光秀の首の下にタオルを通すのに一苦労する。
やっと通し終え、首の前で軽く交差させてタオルの端はスウェットの中に入れ込む。
結鈴「へへ、できた」
パチ…パチっと火がはぜる音が響く。
結鈴は焚火のおかげでとても暖かいと感じるのに、光秀の震えは止まらない。
結鈴「みつひでさん、まだ寒い?…そうだ!」
結鈴は掛けてあるひざ掛けや着物をめくって光秀の隣に寝転ぶ。
(ママとたつきと寝るとあたたかいもんね)
ふふ、と笑って結鈴は光秀にくっついた。