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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第51章 捻じ曲がる真実


『……いい子だ。行くぞっ』


撃たれたなんて気配もさせず、秀吉と三成を救い出した。


秀吉「なんでっ、いつも意地悪いことばっか言ってたお前が、俺を助けるんだ!」

三成「秀吉様…」


三成が耐えるように唇を噛んでいる。

出血を抑えるために腰にあてた布は直ぐに血で染まってしまった。
一刻も早く手当が必要な状況だが、この場所は進むことも退くこともできない。


光秀「……っ、ひ、でよし」


瞼をおろしたまま光秀が口を開いた。


秀吉「光秀!?」

三成「光秀様!」


二人の呼びかけに光秀の口元にわずかに笑みが浮かぶ。


光秀「さっきから黙って聞いていれば、人を死人扱いするな。
 いいか、土砂がどこまで流れ込んだか見えないが、山の東側の斜面はゆるい。お前達なら、行けるはずだ。
 半刻(1時間)程も下れば村人達が使っている山道にぶつかる。三成、お前ならこの辺の地形が頭に入っているだろう?
 ただし山崩れがまた起きるとも限らん。
 気を付けて………行け」


秀吉の眉間に深いしわが刻まれた。


秀吉「行けって、お前はどうすんだ!
 お前が嫌だって言っても連れてくぞっ!」


瞼がわずかに持ちあがり、琥珀色の瞳が鋭く秀吉を睨みつけた。


光秀「判断を誤るな。お前達二人だけなら助かる可能性がある。
 俺を担いだまま下れるような斜面じゃない」

三成「っ」


地形を把握している三成はわかっているのか顔を歪めた。


光秀「俺は助からん。行けっ」


秀吉の胸板を力なく押す手は、泥が爪にまで入り込み汚れている。


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