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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第51章 捻じ曲がる真実


バケツをひっくりかえしたような雨は降り続き、昼前だというのに辺りは薄暗い。


光秀は行き止まりの崖の傍で足を止め、振り返った。
土砂崩れはまだ続いているが、その流れる方角からここは大丈夫だろうと目星をつけた。


光秀「座っていろ。ここは崖の傍だ。
 見えない目で動くと落ちるぞ」


二人は言われるままに座ると、そこは草が生えていて濡れはするが泥で汚れることはなかった。
頭上に繁っている木々の葉が、強い雨を少しばかり防いでくれる。


秀吉「光秀!わかるように説明しろっ!
 一体何があったんだ!」


光秀の声がした方を睨みつけ、秀吉が問いかけた。

視界はまだ曇り、ぼんやりとしか見えない。
秀吉は苛立たし気に片手で両目を覆った。


光秀「知らぬうちに事実が捻じ曲がり、その捻じ曲がった物事が真実かのように成り立っていく。
 人間の手によるものだとしたら見事な手腕だが、人知を超えた力でなくては為せないようにも思える。この日ノ本で何が起きているのか、俺にもわからん…」

三成「…?それはどういう意味ですが?」


秀吉が顔をしかめ、怒りをそのままに拳を地面に打ち付けた。


秀吉「いつもいつもお前はどうしてそういう言い方なんだ!
 俺は!お前が、信長様をっ、本当に裏切ったのか!
 それをはっきり聞きたいんだ!!」

光秀「俺は……っ」


ふいに言葉が切れ、ばしゃっと水が跳ねる音がした。

そのあと時間がたっても何も聞こえてこず、二人は首を傾げた。


秀吉「……光秀?」


返事はない。


三成「秀吉様っ、雨と土砂の匂いで気づきませんでしたが血の匂いがします!」

秀吉「まさか……くそっ」


二人は強く瞬きを繰り返した。そのうち霞がかかったような視界が徐々に回復してきた。


三成「っ、光秀様!」


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