第50章 絶対絶命
信長「蘭丸、逃げろっ!」
信長は冷静に上を見やり、直撃を避けようとしている。
蘭丸が足を掛けていた窓枠も天井の崩落につられておかしな方向へと歪み、形を維持できなくなっている。
蘭丸「信長様、後ろっ!」
蘭丸の影がざっと動き、信長の身体を押した。
直後、大きな崩落がおきて蘭丸と信長の上に大量の建材が落ちた。
信長「くっ!蘭丸っ」
降り注いだものを豪快に払いのけ、信長は身体をおこした。
天井の半分以上が落ち、宵闇に覆われた空が見えた。
幸いすぐに蘭丸を見つけ出すことができたが傍に燃えた梁が落ちていて、頭部から血を流している。
信長は窓の方を見るとひしゃげて勢いよく燃えている。
大きな崩落だったが、四方を囲む壁はしっかりしている。
信長「退路を失ったな」
蘭丸を肩に担ぎ、天井が落ちた場所に座った。
崩落の勢いでこの辺りだけ火は消え、降り注ぐ雨で火の回りが遅い。
信長「俺達が燃え尽きるのが先か、火を消し止めるのが先か。はたまた雷が落ちるのが先か…」
信長は黒い雲を仰ぎ見た。