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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第50章 絶対絶命



ゴウと音をたてて空気が動き、前方から後方へ、身体をさらうような突風が吹いた。



それは……人の力では抗えないほど、強かった



「あっ!?」

謙信「舞!」

佐助「舞さん!?」


見えない大きな手に身体ごと掴まれたようだった。

お互いを結びあっていた紐がブチブチと音を立てて切れ、佐助君とつないでいた左手が離れ、力強く抵抗してくれた右手が…無情にも離れた。


握り合っていた手が離れる瞬間、指先に謙信様の指輪が触れた。


(う、そ……っ!)


正面に居た信玄様が離れていく。

大きな身体が小さくなっていくのを見ていると、離れるスピードがどれほど速いのかわかった。


(ワームホールの中で離れちゃ駄目なのに…っ)


諦めきれず4人の方に手を伸ばす。


信玄「舞!」


驚き私を呼ぶ声が、


(もうあんなにも遠い…)



切れ長の目を見開き、言葉を失っている謙信様と目が合った。
その身体にしがみついている小さな手と短い足が見えた。

反射的に龍輝の身体を抱きしめた。


「謙信様っ!結鈴をまもっ……」


言い終わらないうちに、謙信様達の姿は白いモヤの中に消えていった。


ワームホールの中に龍輝と二人になった途端、意志とは関係ない方向に導かれた。
身体中に圧力を感じ、肺も圧迫されて苦しい。


「うっ」


(な…に、これ。どうなってるの?)


息苦しくて悲しむ余裕もない。


その時、誰もいないのに声が聞こえた。


『大丈夫……必ず助ける』

「え?」


私に似ているようで違う…少し幼さを残す女性。そんな感じの声だった。

ごうっと風が吹き荒れて目を瞑ると、風が入れ替わるように私が来た方向へと強く吹いた。

けれども私の身体は導かれるように前へと飛ばされていく。


それっきり声は聞こえず、頭が混乱したまま真っ白な空間を見つめ続けた。


龍輝が居る。


(初めての時のように気を失っちゃいけない)


それだけに意識を集中させた。


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