第50章 絶対絶命
私は裏切り者。でもきちんと全部話して謝って…けじめをつけなきゃ駄目だ。
背負っているリュックには安土の皆から貰った大事な品が入っている。
1人で居た頃、私を勇気づけ、励ましてくれた餞別の品々だ。
脳裏に次々と浮かぶ武将達。
最後にひと際存在感のある人影。
とくん
その人影はあっという間に姿を鮮明にした。
漆黒の髪に赤の瞳。浮かべる表情は冷たく威厳があった。
天下布武を成し遂げるために心を凍らせ容赦ない仕打ちをする方。
恐ろしい顔を持っているけれど、私と過ごす時は子供のような顔をしていた。
強引だし口では散々言われたけど、思いやりがあって優しくて、いつも私を守ってくれた。
信長様……
謙信様には内緒で贈り物を用意したくらい、お世話になった人だ。
(ワームホール。お願い、私をもう一度あの方のもとに連れて行って)
信長様を助けたところから全てが始まった
「……」
風が湿り気を含み、目を閉じたままでも雨雲が近づいてきたのがわかった。
ゴロゴロゴロゴロ……
雷の音で目を開けた。
空には真っ黒な雲がとぐろを巻くように渦巻いていた。
佐助「きたっ!」
佐助君がそう言った瞬間、
カッと雷が光って視界が白くなり、直後、地面が鳴動した。
(っ!雷が落ちた)