第50章 絶対絶命
隣に並び立ち、1度私の家を見ると穏やかに言った。
謙信「ここで過ごした日々はかけがえのないものだ。世話になったな」
「はい。私もまさかここで謙信様と過ごせるとは思いもしませんでした。とても幸せでした」
思い出の詰まった家を二人で見上げた。
謙信「故郷を奪うことを許せ。そのかわり舞が寂しくないよう、傍に居る」
「気にしないでください。私の居る場所は謙信様のお傍です」
(寂しい気持ちはあるけど、謙信様の隣以外は考えられない)
ハッキリと言い切ると謙信様は気づかわしげに頭を撫でてくれた。
謙信「無事に着いたら春日山城を案内しよう。住まいは別邸となろうが、1度は城を見せてやりたい」
「はい、ぜひとも!ウサギがたくさん居るんですよね。楽しみです!」
謙信「ふっ、ウサギが1番の楽しみなのか。お前らしい」
「い、いえ、そういうわけではないんですけどっ!ウサギだけじゃなく、全部楽しみです」
現代には春日山城の詳細は伝わっていなかった。
(どんなお城か楽しみ)
庭にうさぎが住まうお城。謙信様が過ごしたお城。
寂しさが薄れ、ワクワクした。