第48章 現代を楽しもう! ❀龍の眠る場所 R-18❀
「謙信様、祝言の前に連れて行って欲しいところがあるんです」
安土に挨拶に行きたいと言い出すのかと思ったがそうではなかった。
「伊勢姫様のお墓参りに行かせてください。
きちんと挨拶をして、謙信様のその…妻になる報告をしてお許しを頂きたいと思います。
命を絶つほどに愛した謙信様に、ぽっと出の私が隣に立ってしまったんです。
伊勢姫様がどんなにできた方(かた)でも頭にくると思うんです。だから……」
頭をあげて見れば、舞は眉を下げ、途方に暮れた顔をしている。
謙信「『立ってしまった』のではなく互いにひき寄せられ、連理の枝のごとく支え合って立っているのだ。
お前は相変わらず自己の評価が低いな」
「そうでしょうか?と、とにかくお墓参りには行きましょう、ね?
伊勢姫様はお嫌かもしれませんが挨拶したいです。
それとも自己満足でしょうか。やめた方がいいですか?」
謙信「伊勢の墓参りには俺も行こうと考えていた。気負わずついてこい。
伊勢が恨み言を言うとすれば、俺だろう。伊勢の想いを全て受け止めるべきは俺だ」
納得していないのか愛らしい唇が少し尖った。
「そうですか?私ならちょっと、いや、凄く相手の女の人に妬いてしまいそうですが。
女心は一筋縄でいかないですよ?
でもお許しを頂いたのでついていきますね」
首の後ろに細い両腕がまわり、抱きしめられた。
柔らかな二つの胸が頬にあたり、包み込まれるような安らぎを覚えた。