第47章 現代を楽しもう! ❀デート編❀
「け、謙信様っ!?ここ、遊歩道…ひと、居るのに!」
慌てて周りに人が居ないか確認して、誰も居ないことに安堵する。
謙信「求婚の証の指輪を受け取ってもらえたのだ。
一生に一度の瞬間に口づけをしても構わないだろう」
「もう、謙信様ったら…でも、そうですね、一生に一度の瞬間ですものね」
仕返しと言わんばかりに、形良い唇にチュッと口づけした。
頭の片隅で『ああ、バカップルだと思われても仕方ない』と苦笑しながら。
謙信「っ」
「ふふ、ありがとうございます。今までもこれからも愛しています、謙信様。
…………………あれ、もしかして…」
謙信「どうした?」
「この間女性からの電話を受けていたのはもしかして…」
謙信「ああ、お前が仕事から遅く帰ってきた日のことか。
あれは指輪ができあがったという連絡だった。お前にバレてしまわないかとあの時は心配した」
(やっぱり誤解だったんだ)
深刻に悩んでいたわけじゃないけど、安心した。
胸を撫でおろした私の頬に綺麗な指先が触れた。
謙信「舞は俺が他の女と通じているとでも思っていたのか?毎日のように愛してやっているというのに、まだわかっていないようだな。
にしても、舞こそ俺以外の男に目をやっているのではなかろうな?
随分と仕事の『残業』が多かったようだが…」
(もしかして着物を縫っていたのを『浮気している』って思っていたのかな)
「そんなことないです。第一、毎日とはいえ30分で浮気なんてできるわけないでしょう?」
謙信「それはそうだが……。
まぁ、何か隠しているようだが浮気ではないようだ。ならばその秘め事、許してやろう」
一年前の謙信様は、仕事に出かけるのさえ不安がり、私のことならなんでも知りたがった。
同僚のことや、取引相手のこと、酷い時は昼休みの過ごし方まで根掘り葉掘り聞いてきた。
隠し事などひとつも許さないと言わんばかりの追及だった。
でも毎日顔を合わせ、言葉を交わし、一日、一日過ごしていくうちに極端な干渉は無くなっていった。
穏やかな日々が信頼を築き、思いやりの心も果てしなく深まった。