第47章 現代を楽しもう! ❀デート編❀
謙信「お前に貸した夜着(よぎ)や外套にその香りが移り……」
声が小さくなり後半が聞こえにくかったけど、『芳しい』という単語を拾った。
さっと逸らされた二色の瞳が気まずそうだ。
(かぐわしい??って、いい匂いだったってこと?)
店内にいることを忘れ、二人で顔を赤く染めた。
私が夜着や外套に染み付いた謙信様の香りがいい匂いと感じたように、謙信様もそう感じてくださっていたなんて。
まだお互い敵同士の立場だった頃なのに。
「そ、そんなの察しろなんて無理ですよっ!そういえば…」
重大な事実に気が付いた。
「夜着を借りたのって、確か長屋に通い始めて3日目とか4日目ですよね!?
謙信様って……いつから私のことを想ってくださっていたんですか?」
謙信様がふぅとため息を吐いた。
謙信「今更それを聞くのか?気づかなかった罰だ、教えぬ」
「え、ずるいです。教えてください。気になって仕方ないです」
(私は最初からって教えたのに!)
何度聞いても謙信様は教えてくれず、私は諦めた。
(いつか絶対聞きだしてやるんだからっ!)