第46章 現代を楽しもう! ❀準備編❀
戦争を放棄して平和を謳うこの世の心配ばかりしていた。
でも佐助君の言う通り、この時代に居たはずだ。
私と出会い、愛し合うはずだった人が。
その人がどんな人か永遠に知ることはない。
謙信様以外もう考えられないから。
「未来を知らないから変えることを怖いって思わなかったのかもしれない」
佐助「そうだね」
現代を変えたくないとあれほど恐れたのに、さらに500年後を変えたと知っても恐れはない。
その違いは知っているか、知らないか、だ。
無責任とも思えるけど、実際胸に抱いた思いはあっさりとしたものだ。
佐助「俺も、君も、結鈴ちゃん、龍輝くん。もっと広げていくべきは、俺達が助けた謙信様や信長様。こっちで病を治してしまった信玄様だって、歴史の流れで見ると異物なんだ」
「………」
佐助「これは俺と舞さんが頭を悩ませ、どんなに考えてもどうしようもないことだと思う。だから最近は大きな流れでみることにした。
地球ができて、滅びるまでのスパンで考えれば、俺達が現代に居ようと戦国時代に居ようと、変わりがないのかもしれないって」
「佐助君…急にすごくスケールが大きくなったね。
でもなんだろう。凄く気分が軽くなった」
肩から力が抜け、それだけにとどまらず吹き出してしまった。
地球ができて星の寿命が尽きるまでなんて考えれば、500年の時や、私達の異質な存在さえ小さいことのように思えた。
(こんな考え方ができるなんて流石だな)
「ふふ、本当に…一緒にタイムリップしたのが佐助君で良かった」
佐助「君にそう言ってもらえると光栄だ。
俺もいつも思ってる。一緒にタイムスリップしたのが舞さんで良かったって」
この部屋に来た時の不安がまるで嘘のように薄まった。