第44章 現代を楽しもう! ❀龍輝のパパは???❀
信玄「ふ、ハハッ!だそうだぞ、謙信。
お前の顔、よく見せてやったらどうだ?」
龍輝「…え?」
龍輝が信玄を見て、すぐに自分の背後を見る。
そこには眉をひそめて謙信が立っている。
龍輝「……パパ?」
謙信「龍輝…俺の名は、上杉謙信だ」
龍輝「え……パパが?なんで?」
謙信「なんでとはなんだ。俺は16代目上杉家当主だ。覚えておけ」
幼い二色の瞳がパチパチと瞬きを繰り返した。
龍輝「じゃあパパって『昔の人』なの?テレビで500年前って言ってたよ??」
謙信は頷き、片手で龍輝を抱き上げた。
謙信「お前達がもう少し大人になってからと思ったがそういう訳にはいかぬな。
さっきの話を聞けば、お前は信玄が『昔の人』だとわかっているのだろう?」
龍輝はこくんと頷いた。
この幼い頭の中で『昔の人』である信玄がここにいるのを、どう受け止めているのか謙信と信玄は気になった。
謙信「俺も同様だ。母はお前たちを混乱させぬよう『外国で仕事をしていた』と言い聞かせていたようだが、俺はずっと500年前に居たのだ。
母がいるこの時代に来る方法が見つからずお前達3人には寂しい思いをさせた」
謙信の表情は翳ったが、龍輝の目は一層輝きを増した。
龍輝「パパと信玄様はタイムスリップしてきたってこと?どうやって?
ママはこの時代の人なのに、どうやってパパと仲良くなったの?」
好奇心いっぱいの顔で、矢継ぎ早に質問してくる。
謙信は五月蠅そうにするでもなく、静かに見つめている。
謙信「あとで話して聞かせよう。ただし結鈴も一緒に居る時にだ。
理解できぬところもあろうが、追々と理解していけばよい」
龍輝「うん!そっかー、パパって上杉謙信だったんだね!」
謙信「テレビで見た絵と比べてどうだ?」
龍輝「パパの方が格好いいし、強そう。だってテレビの絵はなんだかお坊さんっぽい服を着てて、おじさんっぽくて、全然強くなさそうだった」
信玄「………フッ」
芋を並べている信玄の身体が小刻みに震えている。
それを見て謙信の眉間の皺が深くなった。