第43章 現代を楽しもう! ❀謙信様の杞憂❀
佐助「謙信様、理由をちゃんと言わなければ舞さんが戸惑っています。
それに良いんですか、ここで肌を晒すと俺にまで見られることになりますが」
謙信「っ、それはならん!…今日、図書館で読んだのだ」
漸く話し始めた謙信に、舞と佐助は戸惑いながらソファに腰をおろした。
謙信もそれにならって座るが、表情は切羽詰まっている。
謙信「双子を孕んだ場合、大抵の女は『帝王切開』で子供を産むと書いてあった。
次の出産の時、自然に下から産めないことはないが危険が伴うため帝王切開で出産すると書いてあった」
謙信の形の良い眉が眉間に寄った。
謙信「舞がもし結鈴達を帝王切開で子を産んだのなら、春日山に戻ってから子を作るのではなく、今すぐ、こっちに居る間に子を……」
「わぁーーーーー!!!!ちょ、謙信様、何、佐助君の前で家族計画を晒してるんですかっ!!」
真っ赤になって舞がストップをかけた。
佐助は無表情で固まり、言葉を失っている。
謙信「何悠長なことを言っているっ。今は恥ずかしがっている場合ではないだろう。
第一お前は腹のどこを切ったのだ?俺はそんな傷を見た覚えはないぞ?
それともこちらの世は縫合の跡が一切なくなる技術でもあるのか?」
「えっと、えー……少し待ってください。頭の整理をさせてください」
真っ赤な顔で頭を抱えている舞を謙信が急かすように見つめ、佐助は口を挟めない問題の上に、席を外すタイミングを逃して気まずい表情をしている。
動揺を抑え込んだ舞が口をひらいた。
「帝王切開の話ですが、私は自然分娩です。
だからお腹に傷はありません。だから今すぐなんて慌てなくても大丈夫です」
その回答に驚いたのは佐助だった。
佐助「双子で自然分娩って珍しくない?少なくとも俺は聞いたことがない」
「うん。普通は帝王切開だよね。でもね……」
舞は謙信を見てはにかむような表情を見せた。