第42章 現代を楽しもう! ❀山梨編❀
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(姫目線)
――旅行から帰ってきてから初めて迎えた週末の夜
ゴク
妙な迫力におされ、唾を飲みこむと喉が鳴った。
謙信「さあ選べ。言っておくが全部選ぶのは無しだからな。
助手席は1つだけだからな」
目の前のテーブルにはこの間の旅行で買ってきたワインが3本置かれ、それぞれワイングラスに注がれている。
私が知らないうちに助手席をかけて賭けが行われたらしい。
(どうしよう、謙信様が選んだお酒はどれかな)
最早どのワインが好みかではなく、どのワインが謙信様が選んだものか、そっちの方に意識がもっていかれた。
万が一信玄様と佐助君が選んだ物を『美味しい』なんて言ってしまったら……
「………」
(し、『仕置きだ』とかなんとか言われて…)
本気で怒ることはないけど、きっと、夜にいっぱい虐められるだろう。
あらぬ妄想で頬に熱が集まった。
思考を読んだ謙信様が薄い唇を緩めて見つめてくる。
「……」
(まさかこんなことになるなんて)
(運転手だからワインを買って帰ろうと思ったのが失敗だった?)