第42章 現代を楽しもう! ❀山梨編❀
「おやすみ、佐助君。布団まで歩ける?」
佐助「忍びは夜目がきくんだ。しっかり見えてる」
龍輝「忍者ってなんでもできるんだね」
「はいはい、龍輝もおやすみ」
やがて部屋が静かになり、誰のものかもわからない寝息が聞こえてきた。
(ほんと、修学旅行みたい)
寝るだけなのに何かが起こるようなワクワク感がある。
明日も運転手だから寝なきゃいけないのに眠気がやってこない。
何度か寝返りをうっていると、布団の中に手が潜り込んできた。
「!?」
私の手を探し当てた大きな手が指を絡ませてくる。
暗い部屋に慣れた目が、こちらを向いている謙信様を捉えた。
(眠れない私を心配してくれたのかな)
手から伝わる温もりにすごく安心する。
興奮していた神経が少しずつ落ち着きを取り戻した。
(おやすみ、謙信様)
きゅっと手を握り返して笑みを返すと、わかっているというふうに握り返された。
ささいなやり取りに一日触れ合えなかった寂しさが満たされていく。
やがて瞼が重たくなり、幸せな気分のまま眠りに落ちた。