第42章 現代を楽しもう! ❀山梨編❀
佐助「そういえば川中島の戦いって、今ではお祭りになっているって知ってる?」
甘納豆が入ったお赤飯にゴマ塩をかけながら、佐助君が切り出してきた。
信玄様が向こうの席で『この赤飯は絶品だ』と目を輝かせ、謙信様は眉間に皺を寄せて赤飯の上に小梅漬けをたくさん乗せているのが見えた。
「え、知らない。そうなの?」
佐助「火縄銃や騎馬戦の実演や忍者の演舞なんかもあるんだけど、目玉は参加者が鎧をつけて参加する大合戦だ。上杉軍と武田軍に分かれて、槍や模擬刀をもって合戦する。
千人近くが繰り広げる合戦が5回繰り返されるんだ、なかなか迫力があるんだよ。
謙信様役や信玄様役もちゃんと居て、一騎打ちで刀を交えたりするんだ」
「凄く面白そう!見てみたいなぁ」
佐助「残念だけどお祭りは確か来月だ。あちらに帰る準備とか…早ければ帰る時期と重なるかもしれない」
「そっか…あとで動画サイトで見てみようっと」
お祭りを見られなくて残念という気持ちと、現代に居られる時間があと少しなんだと寂しくなった。
今年見られないから来年、とはいかない。
その寂しさを打ち消すような嬉々とした声が響いた。
謙信「それは面白い。どのようなものか見たいものだ」
いつから聞いていたんだろう。
信玄様と喧嘩腰で話をしていた謙信様が、唐突に話に加わってきた。
佐助「いえ、本物の戦を知っている謙信様にはオススメしません」
信玄「ははっ、謙信の場合『生ぬるい』とか言って、謙信役を引きずり降ろして自分が走り回るんじゃないのか?」
佐助「やりかねないですね」
「お祭りに行けないのは正解だったかも?」
佐助「ふっ、シナリオとか無視してメチャクチャにしそうだ。舞さんの意見に同意だ」
謙信「散々に言うからには信玄、佐助、覚悟はできているのだろうな」
佐助「さりげなく舞さんを除外しているあたりに深い愛情を感じますね」
「ぷ」
その後は大きな喧嘩もなく和気あいあいと過ごし、寝る時間になった。