第42章 現代を楽しもう! ❀山梨編❀
やっと顔をあげた私に謙信様は薄く笑いかけてくれて、信玄様をじろりと睨んだ。
謙信「舞の不安をあおるようなことをするな、信玄」
信玄「そりゃあ舞が愛想を尽かす時を知っておけば、掻っ攫えるかもしれないだろう?」
「え?」
箸がほうとうに届く前に、また手が止まった。
謙信様が箸を静かに置いた。
謙信「あちらの世に戻ったらもう一度戦をするぞ。
今度こそ勝負がつかなかった川中島の戦いの決着を……」
佐助「落ち着いてください、謙信様。歴史の表舞台に立たないでくださいと言ったでしょう。
舞さんの食事が全然進んでいないじゃないですか。せっかくなので楽しい話題にしましょう」
佐助君が話題をガラリと変えてくれて、やっと人心地ついて食事ができた。
(謙信様と信玄様は仲が良いのに、すぐ喧嘩になっちゃうな)
結鈴「ママ以外の女の人はお芋とかぼちゃなの?じゃあ結鈴は、お芋かな、かぼちゃかな」
謙信「っ、結鈴は別だっ」
信玄「ほーら、早速前言撤回したぞ。姫、約束を守れん男なんぞ放って、今からでも俺にしないか?」
謙信「信玄には既に妻が居るだろうっ!しかも結鈴は娘だ!」
佐助「ああ…また振り出しに戻った」
「ふふ、今夜は佐助君とユックリお話しながら食べようかな」
佐助「それは光栄だ。大丈夫、あの二人はいつもあんな感じだから心配しなくていい」
「そうかな。いつもより激しい気がするけど」
佐助「波があるからね。今夜はきっとビッグウェーブがきたんだ」
「やだ、佐助君ったら、おかしいっ」
クスクス笑いながら旅館の料理を堪能する。
地元の食材をふんだんに使った郷土料理がどれも美味しい。