第42章 現代を楽しもう! ❀山梨編❀
謙信「それはさておき、信玄。
胸の腫瘍は良くなったが、そのように甘いものばかり食していると身体に触るぞ。
やはり幸村も連れてくるべきだったな、お前を止めるのはあいつの役だ」
信玄「何言ってんだ、幸を連れてきていたら姫と甘味を食べながらのティータイムが台無しだ。
それに謙信だって塩辛いもんばっか食べてると身体に悪いだろう?」
謙信「最近は舞があれこれ心配して食事を作ってくれるから心配ない」
信玄「あんまり舞に寄っかかってると愛想つかれるぞ?な、舞」
突然話が巡ってきたので、箸からほうとうがツルンと逃げた。
「え?愛想なんか尽かしませんよ。安心してください」
(謙信様に愛想を尽かす日なんてくるかな?想像できないんだけど)
愛想を尽かすなんでどんな場合だろうと思いを巡らせていると、信玄様がちょっぴり意地悪な顔をした。
信玄「この時代は一人の男に妻が一人だろう?
もし戦国時代に戻って謙信が他に妻を迎えるって言ったら舞は平気なのか?」
「それは……」
胸がギシリと軋み、箸が宙で止まった。
(謙信様が他の人と?)
そんなの想像するだけで泣きたくなる。
実際他の人と仲良くしているのを見たら、心が死んでしまうような気がする。
泣きたくなってつい謙信様の方を見た。
謙信「何も心配いらない。俺はお前だけだと言っているだろう?他の女など芋やカボチャと同じだ」
謙信様はほうとうに入っていた小さいかぼちゃを口に入れた。
(ほんと………?)
謙信様はそう思ってくださっていても、もしかしたら政略的な問題で奥さんを貰わなくてはいけない事態になるかもしれない。
押し黙って考えていると隣に座る謙信様が身を寄せて囁いた。
謙信「俺には跡取りが既に居て、その者に上杉家を託したと教えたろう?側室をとる必要はない。
妻は舞一人だ。お前に悲しい思いはさせない、信じろ」
「謙信様がそうおっしゃってくれるなら…」
肩の力がフッと抜けた。