第42章 現代を楽しもう! ❀山梨編❀
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買い物を終えて宿に着いた頃には黄昏時で、夕飯の時間が迫っていた。
今回で泊りがけの旅行は最後になるだろうということで、皆で泊まれるよう大部屋を予約した。
私の寝顔が、寝起き姿が、と謙信様が渋ったけど、龍輝や結鈴達の希望もあって『皆でお泊り』に決定した。
少し慌ただしく一日の汗を流し部屋に戻ると、すでに豪勢な料理が運びこまれていた。
結鈴「わあ!凄いご飯だね!結鈴のご飯、ハンバーグに旗が刺さってるよ」
龍輝「皆とお泊り、楽しいね~」
テンション上がりまくりの二人を座らせ、乾杯する。
一杯だけと私も地酒をもらった。
謙信「信玄。帰ったら、さっきの菓子を全部食べるのか?」
信玄様が宅配で送ったお菓子の量を思い出し、謙信様が顔をしかめている。
信玄「そりゃあもちろん。謙信以外は菓子を食べるだろう?
まさかあれを一人で食べたりしないさ」
信玄様の名前がついた山梨のお菓子。
信玄様が試食用のお餅を食べる瞬間は感無量だった。
佐助君とグータッチしてしまったくらいだ。
お菓子の味を信玄様はいたく気に入ったようで、お餅の他に、プリンやアイス、飴も買っていた。
「ふふ、気に入ってくださって良かったです。
きなこと黒蜜の組み合わせがとっても良いですよね。私は小さい頃から好きだったんですよ」
佐助「俺もだ。だけど、どうしてもきな粉が散らばる…。どうしたら散らかさずに食べられるか、本気で考えた時があった」
「そうそう!気をつけているのに絶対散らかしちゃう」
佐助「結局息を止めて、動作をゆっくりにして食べるしかないのかな」
「それ昔やったことあるよ!それでもきな粉がこぼれるの、不思議だよね」
私と佐助君の賑やかなやり取りを聞いて、信玄様がくすっと笑った。
信玄「そんなにあの餅は親しまれているのか。俺の名がはいった甘味か…光栄なことだ」
佐助「信玄様がそう言ったと知ったら、お店の人が泣くほど光栄に思うと思いますよ」
うんうんと私も頷いた。