第42章 現代を楽しもう! ❀山梨編❀
爪も牙も隠す必要がない、この桃源郷のような世界。
以前なら『戦のない世などつまらない』と思っただろうが、こうして身を置いていると……悪くない。
結局のところ、あの三人が居れば俺はどのような世であれ『つまらない』とは感じない人間になったのだろう。
己の変化に驚くばかりだ。
だがそれはそれ。
良い機会だ。こいつに警告しておくことがある。
隣でのんびりしている男をじろりと睨むと、察したのか視線をこっちに向けた。
信玄「なんだ、急に物騒な気配を漂わせて。生憎お互い刀はもっていない。
話し合いで解決しようじゃないか?」
(舞が言いそうな言葉だ)
謙信「たいしたことではないが…」
信玄「知ってるか?お前が『たいしたことない』と言う時は『たいしたことある』んだ」
面倒そうに眉をひそめた顔がどうにも憎らしい。
謙信「結鈴と居るとよく本を読んで欲しいと言われる」
信玄「……へぇ」
数秒の沈黙で全て察したのだろうが、逃げの体勢をとるでもなく余裕の表情でこちらを見ている。