第42章 現代を楽しもう! ❀山梨編❀
観光の合間、時々信玄様が興味を引いた場所で車を止めて景色を眺めたりと、一日があっという間に過ぎた。
信玄様の菩提寺は国指定の庭園があり、とても立派な大寺院だった。
趣(おもむき)のある錦秋の庭園を目当てに観光客がたくさん訪れていた。
信玄「不思議だよな。俺はここに生きてるっていうのに『信玄公の墓所』や菩提寺なんてのがあるんだから」
佐助「今は500年後だから仕方ありません。
亡くなったのは俺達が出発してから三年後になっていましたね」
信玄「ああ。俺が居ないことを3年隠せって手紙を残してきたからな。
家臣達はその通りにしたんだろう」
信玄様は自分のお墓に線香をあげて、静かにその佇まいを眺めていた。
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バックミラーに映る信玄様の表情は終始穏やかだった。
結鈴や龍輝にじゃれつかれている時も、私を労うついでに甘いセリフを言ってくるのもいつも通りだけど、窓の外を眺める信玄様は嬉しそうでもあり、寂しそうでもあった。
500年前と比べて風景が変わり過ぎているからなのか、知っている人達が居ない時に居るからなのか…
信玄様の表情の意味は後から知ることになるけど、その時の私は信玄様にどう声をかけたら良いかわからず、ただ見つめるだけだった。