第42章 現代を楽しもう! ❀山梨編❀
視界が一気に高くなり、茫然と信玄様を見おろした。
大人びていて、いつも余裕の信玄様が子供のように無邪気に笑っていた。
「っ」
信玄「凄いよ、姫。本当に……」
「ひゃっ!?」
信玄様の腕の力が故意に緩められ、私の身体は一瞬の浮遊感の後に力強い腕に抱きとめられた。
ぎゅっ
揶揄って来る時とは違い、まるで本気だと言わんばかりに抱きしめられた。
「し、信玄様っ!?」
信玄「いい策を考えてくれた君に感動したんだ」
(私の策が!?これって、感動のハグなの?)
「え?あ?えーっと…」
パニックになっていると、ありがたい助け船が出された。
佐助「信玄様、ハグにしては長すぎると思います。
もうじき謙信様が戻りますので、舞さんを離した方が身のためかと」
信玄「おっと、そうだな。こんなとこ見られたらここに置いてけぼりにされそうだ」
佐助「いや、そんなものでは済まされないと思います。このガードレールから向こう側に投げ飛ばされ……」
「わわわ、大変。今のは友情を確かめ合うハグ!何もなかったです!そうしよう!」
信玄「姫、それは酷いな。なかったことにされるのか」
謙信「…なにを『なかったことにされる』のだ?」
「謙信様っ、いつの間に!」
いつの間に帰ってきていた謙信様が、訝し気に目を細めている。