第41章 現代を楽しもう! ❀信玄の企み❀
(ああ、姫はなんだかんだ言って今日も作ったんだな)
姫は困った顔で、
「謙信様にいらないって言われましたが食べて欲しくて作ってしまいました。
謙信様が好きなおかずをいっぱい入れてみたんですが食べてくれますか?」
謙信「っ、もちろんだ」
謙信は表情を緩めて俺の弁当を置くと、結鈴の手から自分の弁当を受け取った。
これにて一件落着かと思いきや、
「はい、佐助君。謙信様と信玄様に作ったから佐助君にも。研究頑張ってね」
謙信「……」
佐助は眼鏡の奥で目を輝かせている。
佐助「愛妻弁当&優しい励まし付き。感動だ」
謙信「佐助、聞き捨てならないことを言うな。その弁当をこちらに寄こしてもらおう」
佐助「……聞き間違いです、きっと。
舞さん、お礼はあとでゆっくり!!にんにん」
忍術でドロンと姿を消した佐助は流石だ。
ここは逃げるが勝ちだ。
信玄「ああ、俺も朝一のレッスンだった。姫、お礼は後でな」
さっき謙信が置いた俺の弁当を持って家を出る。
自転車に乗ろうとしていると家の中から声が聞こえてきた。
「まあまあ、今日は謙信様のウインナーはうさぎさんですから、そんなに怒らないでください」
謙信「うさぎでは治まらん!信玄の策にまんまと嵌ってしまった」
「すみません、謙信様。私が悪かったです」
謙信「っ!?いやそういうわけでは…」
龍輝「あ、ママが泣きそう。パパがママを苛めてる!
せっかくウインナーをうさぎさんにしてくれたのに!」
結鈴「あ、もぉーーー、パパ……め!よ。
ママのお弁当くらいで喧嘩しないの」
謙信「結鈴、お前の母の弁当は貴重なものなのだ!
舞、お前はひとつも悪くない。だからそんな顔をするなっ」
おかしくて片手で口を押さえた。
信玄「ははっ、女を避けていた謙信が嘘みたいだな。
ま、姫の手作り弁当もゲットできたし、今日は良い一日になりそうだなっ」
乗り慣れた自転車をこぎ出すと、新鮮な朝の空気が肺を満たす。
以前は大きく吸い込むと咳が出たが、もう恐れる必要はない。