第41章 現代を楽しもう! ❀信玄の企み❀
姫の心は謙信のもの
わかっているが、ふとした時に舞を想ってしまうのはどうしようもない
少しだけその優しさを俺にも分けて欲しいと願ってしまう
ちらりと弁当を見ると口の端が持ち上がった。
俺のために作ってくれたたこさんウインナーと甘い卵焼き、それだけで俺は充分。
姫が作った弁当は「今のうち」しか食べられない。
春日山に戻ったら姫は女中達に料理を止められるだろうし、俺自身いつまで春日山に滞在するかわからない。
どう転んでも今よりも距離ができてしまうだろう。
なら「今のうちに」幼稚な策を練って姫の優しさを手に入れよう。
素直に言えば弁当くらい姫は作ってくれるだろうが謙信を巻き込まなければ楽しくない。
さあ、次はどんな手を使おうか…?
あの手この手を考えながら爽快な気分で自転車をこぐ。
軽い身体に冴え渡った頭。
今の俺なら何でもできるような、そんな気がした。