第1章 触れた髪
「とてもとても遠い国なんです。だから佐助君が居てくれて、とても安心するんです」
佐助「舞さん…」
(佐助くんの目元が赤い気がするけど気のせい?)
表情が変わらない上に眼鏡をかけているので、そのあたりが判断しにくい。
信玄「ああ、天女の心は佐助のモノだったか」
謙信「佐助が言っていた『例の女』か…」
幸「佐助に…女?」
「え?あの皆さん、何か…」
『勘違いをしていませんか?』と言おうと思ったけれど、謙信様に遮られた。
謙信「ふん、とんだ時間の無駄使いだった。
女、佐助は俺の忍びだ。
お前のせいでその刀が鈍るような事があれば、即刻斬る」
『斬る』発言をされて背筋が凍る。
(け、謙信様は綺麗だけど、とにかく怖すぎる!)
私が言い返す前に謙信様はこちらに背を向けて歩き出した。
謙信「つまらん、先に宿へ戻る」
それに続くように幸村さんと信玄様もこちらに軽く手を振って歩いて行った。
佐助「舞さん、俺も行かなきゃ。
数日のうちに君を訪ねるけど良い?大事な話がある」
「うん、大丈夫だよ。気を付けて来てね?」
時々お城の部屋に忍び込んでくる佐助君が、心配になる。
けれど佐助君は『俺はちょっと凄い忍者だから大丈夫』と言って去っていった。