第38章 現代を楽しもう! ❀北の旅編 R-18❀
「謙信様、初夜って初夜って…!信玄様と佐助君にそう言ったんですか?」
『初夜』という単語を口にするだけで恥ずかしいけど、あの二人に知られていると思うと猶更恥ずかしい。
謙信「信玄から言ってきたのだ。
子が二人も居る俺達だが、祝言をあげた夜は初夜だということに変わりはない。
ゆっくり舞と過ごせとな。あいつも時には気の利いたことを言ってくれる」
(そ、そうなの?今夜はエッチしろって言われたみたいで恥ずかしいんだけど…)
知らないうちにお膳立てされていて恥ずかしい。
謙信「こちらでは初夜という慣習はないのか?」
謙信様が私の髪を梳いた。
たったそれだけで部屋の空気が濃くなった気がした。
「ないわけではないですが謙信様達の時代ほど重要視はされていない、かな?」
時代劇のワンシーンだと、白い布団の上で新婚夫婦が白い夜着をまとって畏まって挨拶していた。
多分戦国時代なら結婚したらすぐに子供を…というのが普通だろうから初夜は大事な儀式だったかもしれない。
でも現代はそんなに重要性を含んでいない気がする……のは私だけだろうか。
謙信「だが夫婦になった夜はともに居たい気持ちはいつの世も変わらぬだろう?
さして難しく考えず俺と過ごせ」
顎に手を添えられ、口づけが落ちてきた。
結婚式の時からずっと触れたいと思っていた温もりに、ほうっとため息が出た。
「はい。式の際中からずっと謙信様が愛しくて、触れたくてたまらなかったんです」
子供達の目がない今、ためらいなく謙信様に身を寄せた。
少し背伸びして謙信様の唇にチュッとキスをした。
謙信「愛らしいことを言ってくれる。それは俺もだ。
今日のお前はあまりにも美しすぎた。俺の腕にとじ込め、誰にも見せたくないほどにな。
純白に彩られた舞を今宵は俺の色に染め上げる。覚悟しろ?」
頬をつつむ両手の温度が高い。
目の前に迫ったきれいな顔に愛しさがこみあげ、目を閉じた。