第37章 現代を楽しもう! ❀北の旅編❀
神父「では誓いのキスを」
打ち合わせの時『誓いのキスは頬か唇、どちらでも構いませんよ』と言われたけど、時間がなくてどちらにキスをするのか話し合っていなかった。
謙信「………」
何回見てもタキシード姿の謙信様は本当に格好良い。
見つめ合うと、愛しいという感情が溢れて止まらなくなる。
(キスは謙信様に任せよう)
大好きな二色の瞳をじっと見つめ、瞼をおろした。
謙信様が身をかがめる気配がして身体に力が入る。
神聖な誓いのキスとはいえ、人前でキスをするのはやっぱり恥ずかしい。
謙信「……永遠に愛している」
私にだけ聞こえる囁きとともに唇に温かい感触が降ってきた。
欲を奪い奪われるキスじゃなく、唇を合わせるだけの誓いのキス。
数秒がとてつもなく長く感じた。
離れた唇を惜しむように瞼をあげると感動で涙があふれた。
「私も……」
泣きながら謙信様に笑いかけ、小さな結婚式は無事に終わったのだった。