第37章 現代を楽しもう! ❀北の旅編❀
――――
――
式は滞りなく進み、神父様に『指輪の交換を』と言われハタと気が付いた。
(指輪っ!?用意してるの!?)
少なくとも私は指輪のサイズを聞かれた記憶はないし、もちろん一緒に選びにも行っていない。
静かに焦る私をよそに、リングピローの上に乗せられたプラチナの指輪が運ばれてきた。
(うそ、指輪だ……)
神父様に促され、まず私が謙信様の指に指輪をはめる番だ。
大きい方の指輪をとり、震えながら手をとったけど……
謙信「左手だろう?」
「っ!?」
誰にも聞こえないくらい小さな声で諭され、手を取り直した。
(緊張して、ひ、左と右、間違えた!!!!)
混乱しながらなんとか左手薬指に指輪を通していく。
第二関節のところでちょっぴりだけ引っかかりがあったけれど、指輪はピタリとはまった。
たったそれだけなのに大仕事をした後のようにどっと疲れた。
謙信「……」
謙信様がひとつ残っていた指輪をとり、私の手を取った。
ドキンドキンと心臓がうるさい。
息苦しささえ覚える緊張の中で、謙信様がゆっくりとした動きで指輪をはめていく。
瞬きもせずその様子を見ていると、謙信様とおそろいの指輪がピタリと薬指におさまった。
(どうして私の指輪のサイズを?)
見上げると謙信様がちょっぴり得意げな表情をしていた。
指輪だけじゃない、ドレスのサイズもデザインも、全部が全部、私が好みそうなものだ。
(かなわないな、謙信様には)
深い愛情を感じて目が潤んだ。