第37章 現代を楽しもう! ❀北の旅編❀
龍輝「らっしゅなんとかって白いやつ?」
いつの間にかベンチから降りた龍輝が聞いてくる。
「そう!どこかで見なかった?」
龍輝「えっとね、さっきママの荷物から落ちそうになってたから僕が持ってたんだけど、パパに渡しちゃった」
「え…」
(じゃあ、この格好で謙信様のところに行かなきゃいけないのっ!?)
一緒にいるだろう佐助君や信玄様にこの姿を見せるのは恥ずかしい。
タオルは持ち込めないのでこのまま行くしかないし…
近くで着替えている10代の女の子達が楽しげにおしゃべりしている。
(う、あのくらい若ければ堂々と取りに行くのに……)
すべっすべの張りのある肌とほっそりした手足が恨めしい。
「あ、そうだ、龍輝と結鈴にとってきてもらえばいいんだ!」
名案とばかり二人にお願いすると反応は『嫌』だった。
結鈴「だってパパ達がどの辺にいるかわかんないし」
龍輝「ママ、そのままでも可愛いから行こうよ」
「た、龍輝だけだよ、可愛いなんて言ってくれるのは」
結鈴・龍輝「「いいから早く行こうよ!!」」
早くプールに行きたい二人にぐいぐいと引っ張られる。
「わ、待って。ロッカーに鍵かけなきゃ」
二人に連れられて待ち合わせ場所に向かう。
こうなったら謙信様達が見える所まで行ったら二人に頼んで、自分は見られないように隠れていよう。
そう思ったのに、上手くは行かなかった。