第36章 現代を楽しもう! ❀年末年始編❀
この困った人をどうやってかわそうか頭を巡らせていると…
謙信「……お前達は隙あらば舞にちょっかいを出しおって!」
信玄「おっと、思っていたより戻りが早いな。せっかく姫に食べさせてもらおうと思ったのに」
謙信様の鋭い視線が私に向いた。
謙信「食べさせたのか?」
「た、食べさせてませんっ」
あからさまにホッとした顔をして謙信様が詰め寄る。
謙信「舞は忙しい身だ。自分で食えっ!」
信玄様がしたり顔になった。
信玄「じゃあ忙しくない時なら良いってことだな。姫、じゃあ後でな」
「えっ!?そ、そういう意味じゃ…」
反論を聞かず、信玄様は颯爽と居なくなった。
謙信「くっ、言葉のあげあしをとられるとは不覚!」
「ぷ。謙信様、そんなに落ち込まないでくださいね」
近くに寄ると腰に腕が回った。ふわりと謙信様の香りがしてドキッとする。
「わっ?!」
謙信「お前が愛らしいからあいつらがちょっかいを出すのだ。
いっそのこと四六時中、面でもつけてもらうか…」
「……丁重にお断りします」
大晦日なのに、忙しいのに、
「いつまでたっても料理がすすまない…!」
せっかく作った天ぷらの衣がボールの中で温くなってしまい、私はがっくりと肩を落とした。