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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第36章 現代を楽しもう! ❀年末年始編❀


グイ


手袋をした小さな手が私を引っ張った。


「龍輝?こういう時はあんまり動かない方がいいよ」

龍輝「大丈夫、すぐそこ」


龍輝が指差した先は…トイレだった。


「なぁに、龍輝、トイレ?」

龍輝「ちーがーう!なんとなく結鈴はトイレに行ってる気がする。ご飯の時、お水いっぱい飲んでたじゃん」

「そういえば…」


気温は低いしトイレに行きたくなったとしてもおかしくない。
そう思った時、探していた二人が出入口から出てきた。


「謙信様!急に居なくなったので迷子になったかと思いました」

謙信「結鈴が突然腹が痛いと言ったのでな。スマホが鳴っていたのにも気付いていたが出られなかった。心配かけてすまなかったな」


謙信様の隣で結鈴はニコニコしている。


「いえ、無事で良かったです。
 龍輝がトイレじゃない?って言うので来てみたんです。
 龍輝、すごいね。大正解!!」


話の途中で龍輝に向き直ると得意げな顔をしている。


結鈴「ママ、早く行こう!」

「誰のおかげで立ち止まったと思ってんの、もう~」


呑気な結鈴に呆れながら4人で歩き出す。

今度は二人の後ろにピッタリくっついて離れないようにする。


「謙信様、少し満たされたでしょうか…?
 気付かなくてすみませんでした。今まで3人で静かに暮らしていたので、皆で賑やかでいられるのが楽しかったんです。これからは時々4人で過ごしましょうね」


子供達が光の点滅に気をとられている隙に話しかけると、謙信様が柔らかい表情をして頷いた。


謙信「まだ足りぬが、時々こうして過ごしてくれるというなら、それを楽しみに我慢するとしよう。
 ありがとう、舞」


イルミネーションの光が翳って見えるくらい綺麗な笑みは、戦国時代にいた頃には見られなかった顔だ。


「最近とっても幸せそうに笑いますね。嬉しいです」
 

幾日、幾百、幾千の日を一緒に過ごして、この綺麗な笑みを何度も見たい。あの時の約束を果たしたい…


謙信「お前が俺に幸せをくれているのだ。俺はお前にそれを返せているだろうか?」

「もちろんですよ!毎日、とても幸せです」


満面の笑みを浮かべると、謙信様が愛でるように見てくれる。

一瞬だけ味わった喪失感はすぐに忘れ、夜を美しく飾る光を4人で心ゆくまで楽しんだ。


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