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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第36章 現代を楽しもう! ❀年末年始編❀


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予約しておいたお店で食事をとり、外に出る頃には日が落ちて真っ暗になっていた。

車で移動中、駐車場に着く前からイルミネーションが見え始め、龍輝と結鈴が窓に張り付いて見ている。


(戦国時代に戻ったらイルミネーションなんて見られないから、いっぱい見て欲しいな)


ちょっぴり寂しい気持ちに蓋をして、4人で車を降りた。





謙信「人が作り出した人工的な景色は歪(いびつ)で不自然だと思うが、綺麗なものだな」


謙信様は静かな視線をイルミネーションに向けている。
LEDの光で浮かび上がった横顔が一心に遠くを見つめている。


「いい?明るいけど、離れるとすぐ迷子になっちゃうからね。繋いだ手を離しちゃ駄目だよ?」


私は龍輝と、謙信様は結鈴と手を繋いで歩く。
日が落ちると気温が下がり、厚着してきたにも関わらず身体がぶるっと震えた。

通路の脇に植えられている木は全てクリスマスツリー風に彩られ、時折光るシカやトナカイが居た。

斜面を利用してソリに乗ったサンタクロースや、プレゼントの箱、雪だるまのイルミネーションが視界いっぱいに広がっている。
流れる音楽に合わせて、それらが鮮やかに点滅する。


「凄いねぇ」

龍輝「綺麗!あ、あそこにあるのは何かな」


植木の向こうにチラリと見えている白い羽。


「わかる?」

龍輝「テレビで見たことあるけどわかんない」

「白い鳥って書いて、ハクチョウっていうんだよ。あれ……?」


龍輝と青白く光るハクチョウをしげしげと見ている間に、謙信様と結鈴の姿が…ない。


「大変っ!龍輝、パパ達とはぐれちゃった!!」


小さな二色の目がまん丸になる。


龍輝「探しにいかなきゃっ」


龍輝達は謙信様がどことなくこの時代に不慣れなのを感じ取っているようで、姿が見えなくなるとすぐに探してきてくれる。


「暗いから見えないね」


イルミネーションで明るいけど、離れてしまえば人影は闇に溶けこんでしまい判別も難しい。
謙信様に持たせているスマホに電話してみるも、何故かつながらない。


「電話…繋がらない」


キョロキョロとそれらしき背格好の人を探すけど見つからない。
クリスマスイヴとあって人が多い。


(謙信様とはぐれちゃった)


言い知れぬ不安に襲われ、もともと冷たかった手が、さらに冷たくなった。


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