第35章 現代を楽しもう! ❀お寺編❀
造り手達を尊重し、感謝する姿勢に惚れ惚れする。
隣に座る凛とした人を尊敬のまなざしで見つめた。
謙信「500年前の書がまったく劣化していないのを訝しむ者が多かろうが、この時代には紙や墨を調べて、いつ書かれたか、誰が書いたかもわかるそうだな。
なれば問題ないと思うが引き受けてくれるか?」
住職「は、はい。寺の謎が解明されるのは住職としてもありがたいお話です。
では『一国の姫』の子孫と名乗る方が寺を訪れ、詳しいことは言わずにこれらの書を置いて立ち去った。ということにしましょう。
そうすれば何か聞かれても私も知らぬ存ぜぬで通すことができましょう。
謎は解明され、また1つ謎が生まれましょうが、歴史にミステリーはつきものですから」
住職は両手を畳について深く礼をした。
住職「謙信様の命(めい)を責任を持って果たします。
この寺の謎を明らかにしていただきありがとうございました。この時代の住職に就いたこと本当に誇りに思います」
謙信「これは命ではない。堅苦しく考えず、引き受けてくれ。
今は褒美もなにも与えられない身だ。手間を取らせるがよろしく頼む。
死した後に名がしれたところで造り手達は知らぬところだろう。だがこうして造った物が残っているのだ。名も一緒に残してやりたい。これは俺の我儘だ」
ご住職は恐縮してさらに頭を下げ、すぐにでも名刺をたよりに大学教授に連絡をとってくれると言ってくれた。