第35章 現代を楽しもう! ❀お寺編❀
謙信「お前の心は神仏のように清らかで深いと、今でも感ずる時がある。
その尊い心を垣間見るたびに同じ人間だろうかと驚き、躊躇い、愛しいと思う」
「あ、ありがとうございます」
ストレートな表現にそれ以上何も言えなかった。
赤くなって俯く私を、謙信様とご住職が穏やかに笑って見ている。
住職「謙信様は舞様を深く想っていらっしゃるのですね。
先ほどの針の件ですが、確かにございますよ」
「え?どこですか?」
住職「こちらから見て右奥の……」
ご住職が示す場所を見ると、確かに針らしきものを持っている。
針というよりお箸みたいに太かったけど。
住職「何故針を持っているのか謎だったのですが、そうですか……針子をしていた舞様をモデルにしたのなら納得できますな」
「……」
知れば知るほど私のために建てられたんだと感じる。
気後れはしてるけど謙信様の想いが純粋に嬉しい。
「謙信様、改めてありがとうございました。
こんなに想いをこめて再建されていたなんて知りませんでした」
謙信「ふっ、その嬉しそうな顔を見られただけで満足だ。礼など無用だ。
再建の指示を出した時、舞に二度と会えないと思っていたからな。
生きる道を選んでくれた舞に礼を言いたいのは俺だ」
温かな手が私の手をとった。
私の存在を確かめるように。