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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第35章 現代を楽しもう! ❀お寺編❀


謙信「ご住職か。俺は上杉謙信。
 瀕死の妻を救ってくれたこと、感謝している。この通りだ」

「謙信様!?」


(私のために頭を下げてくださるなんてっ!)


ご住職も慌てている様子で、


住職「どうか頭をお上げください。人が倒れていたら助けるのは人として当然のことです」

謙信「それでもだ。そなたの施しがなければ舞も、二人の子らも、俺の知らぬ間に命を落としていた。どれだけ礼を言っても気が済まない」

「謙信様……」


深々と頭を下げる謙信様の手を取った。
繋いだ手を辿るよう謙信様の瞳が動き、目が合った。


「お気持ち嬉しいです。ありがとうございます」


一緒にお礼を伝えたいと、ご住職に向き直った。


「改めて私からもお礼を言わせてください。あの時は本当にありがとうございました」

住職「いえいえ、本当にそんなに気になさらず……」


ご住職がすっかり恐縮したところで、お寺の案内をしてもらうことになった。


――――
――

謙信「……」


お寺の外周をひと回りした後、謙信様は水場で屈みこみ、石像の細部を確認し、満足げに頷いた。


謙信「良い仕上がりだ。500年経ち、鈴の彫りが浅くなってしまっているが俺の希望した通りに造られている」

「この石像を見て、このお寺を建てたのが謙信様だと確信しました。私達にしかわからない『あの時』を再現されたのだと…」

謙信「そうだ。あの一時だけが俺とお前だけの秘めた時間。誰にもわからぬものだった。
 それを形にすれば舞なら気づいてくれるだろうと思ったのだ」


大きな手が頭にのった。
謙信様はゆっくりと立ち上がり、さっと視線を巡らせた。


「しかし、ここに流れていた小川はなくなったのだな」


謙信様も私と同じことを感じたらしく、立ち上がって小川が流れていた場所を見ている。


住職「私が40年前にここに来た時には既に川はありませんでした。舞様も同じことをおたずねになりましたが、もしや500年前、ここには川が流れていたのですか?」


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