第33章 蜜月の始まり(R18)
(謙信目線)
「ん………」
朝日が昇り始めた時分、俺はようやく舞を解放した。
舞は何度も気をやり最後はそのまま意識を手放した。
汗で頬に張り付いた髪を払ってやる。
謙信「無理をさせたな……」
身なりを整え布団を掛けてやる。
ひとたび触れれば抱きつぶすだろうと予想していたがその通りとなった。
所有と独占の証を刻み込むため何度も胎内に注いだ。
謙信「……」
もっと早い段階で抱くこともできたが、もし子ができたなら…また遥か遠くに消えてしまうのではないかと不安を拭えなかった。
繋がりたいという欲望と舞を失う恐怖が拮抗し、一か月以上が経ったが……触れずにはいられなかった。
謙信「もうお前を失いたくない…消えてくれるなよ?」
元居た場所に居るのだから大丈夫だろうと思うが、ワームホールに連れ去られる可能性は果たしてあるのか……。
四六時中傍に居たいが、仕事をしている舞に対してそれは叶わない。
己に縛り付ける術がなく、繋ぎとめるように執拗に抱いてしまった。
過ぎた快楽は苦痛を呼ぶ。
俺を一人にしないためにギリギリまで意識を手放そうとしなかった舞が愛しい。
(もっと早く意識を飛ばせば楽であったろうに…)
安らかな寝顔を眺めていると自ずと表情が緩んだ。
謙信「すまないな、お前には無理ばかりさせている」
舞には謝ってばかりだ。
大抵の女なら愛想を尽かして離れていくだろうに、舞はいつも俺を許し、手を取ってくれる。
(だがこれからはその優しさに甘んじず、共に歩んでいきたい)
格好悪いところばかり見せている。
佐助の手がなければすれ違ってばかりで、想いを通わせることもできず、この時代に来ることさえ叶わなかった。
信玄が居なければ舞の心は閉ざされたままだった。
謙信「己がこんなにも不甲斐ない男だとは思わなかった。
これからはお前と、俺達の子を守るために強くあろう」
半年腑抜けている間に守るべきものが増えていた。
必ずや守る。
謙信「守る者の存在が俺を強くしてくれる。舞、ありがとう」
「ん…けん、し、ん様……」
柔らかい頬に口づけを落とした。
愛しい女は口元を和らげ、スヤスヤと眠っている。