第33章 蜜月の始まり(R18)
謙信「愛した女を抱いたのは舞が初めてだった。
お前に口づけた時、今まで得ていた感覚は偽だったとはっきりした」
「にせ……ですか?」
謙信「俺は口づけが嫌いだった。食事や水を取り入れる唇を合わせたところで何の意味があるのか。
元服の際に受けた閨の教えや書物にあるような快楽は得られず、むしろ嫌悪でしかなかった」
(え……?だって…)
隙があれば口づけして微笑んでくれるのに。
謙信「あの宿で俺は初めて口づけをしたいと思った。
心底舞に惚れ、愛し、全部に触れたくて仕方がなかった」
ちゅっ、とまたキスされる。
形の良い唇が優しいカーブを描き、端正な顔立ちに幸せな笑みが広がっている。
謙信「舞に口づけした時、柔らかく甘い感触と共に心が満たされる思いがした。
舌を吸い、絡めとり、唾液さえ欲するほど快楽に溺れた」
「あ、ん…!!」
油断していた唇に謙信様のものが重なった。唇を割り開き舌が入り込んでくる。
「ん、んっ」
ヌルヌルとした舌同士が絡み合うと、歯磨き粉の香りがして無性にドキドキした。
お互いの唇を、舌を追いかけ激しく求め合った。
謙信「っ、は……愛している、舞」
「謙信さ…ま、んん!」
言葉も呼吸も奪うような激しい口づけが続いた。
溢れる愛しさを言葉では伝えきれず、謙信様の背中に回した腕に力を込める。
ピタリと直接重なった上半身は、だんだん汗ばんできている。
「んんぅ……はぁ」
鼻呼吸では酸素が補えなくなってくる。
飲み込む唾液の半分は謙信様のものだ。
唾液が喉を通って胃に落ちていく…
(あ、つい……身体が)
まるでお酒を飲まされたかのように身体が熱をあげた。