第33章 蜜月の始まり(R18)
「身体の交わりのことです……」
謙信「ふっ、何もそこまで顔を赤くしなくても良いだろう」
謙信様が悪戯に成功したように喉を震わせた。
ふっと息を吐くと私の疑問に答えてくれた。
謙信「伊勢の件以来女を避けていたが、それ以前は上杉家の当主として嗜(たしな)み・義務として女に触れなければいけなかった」
「嗜みと義務、ですか」
当主としての嗜みと義務。
そんな理由で好きでもない人とエッチしなくてはいけないなんて、なんだかやりきれない。
謙信「この時代で生まれ育った舞には到底理解しがたいだろうが、あの時代では普通だ。
特段女に興味もなかったし、抱かなくても支障はなかったが周りが放ってはおかなかった。
伊勢と出会うまではそれなりに女を抱いていた。そのせいで、お前が言う通り『キスも、エッチも凄い』結果になっているのだろうな」
「なるほど……」
それなりに抱いていたなんて聞くとちょっとモヤモヤするけど謎は解けた。
細い指に唇をムニュっと掴まれた。
「んん!?」
謙信「唇が尖っていたぞ」
(だって、ちょっと面白くない)
時代背景を考慮して頭で納得していても、謙信様が他の人となんて、あまり考えたくない。
でもそれを言うのは大人げないので言わない。
謙信様は唇から指を離すと、顔を寄せキスしてくれた。
チュッと軽い音が耳にくすぐったい。
謙信「妬いているお前も可愛い」
二度、三度と唇がおりてくる。
(っ、やきもち妬いたのバレてる)
謙信「あてがわれた女に触れても、なんの感情も湧き起こらず、無味な一時だ。
女にさして興味もない俺にとっては真(まこと)に意味のない時だった」
(でも『それなりに』気持ち良かったのかな。キスもいっぱいしたのかな…)
余計モヤモヤしてきた。