第33章 蜜月の始まり(R18)
謙信「お前を抱きたい」
(あの時と同じ言葉…)
初めて想いを交わした時にも同じように言われた。
身体がかっと熱を持ったのがわかった。
謙信様を見ると、熱い眼差しで私を見ている。
熱に煽られて揺れる二色の瞳。
見返す私もきっと熱っぽい目をしているだろう。
謙信「信玄のことも、子のことも憂いはなくなった。
お前を抱かない理由がない…」
謙信様は私の身体の横に両肘をついた。
欲を露わにしても、どこか気品を残したまま私を見おろしてくる。
言葉からも表情からも、肌から伝わる熱からも『欲しい』という想いが伝わってくる。
ひとつ屋根の下で暮らしているし子供もできた。
ベッドに押し倒された状況になってもまだちょっぴり信じられない。
謙信様が私の伴侶だなんて……
「あ……その……」
こんなに情熱的に求められたことなんてない。
ドキドキしすぎて頭が真っ白になった。
謙信「お前は5つも齢を重ねたのに相変わらず初心(うぶ)だな」
目を細めて笑っている謙信様が格好良くて、でもからかわれて面白くない。
「子育てと仕事ばかりでしたし、謙信様以外の男性と関わるなんて論外でしたから。
経験値は以前と変わってないのは当たり前です」
ふん、と横を向いてやると謙信様が身をかがめる気配がして頬に柔らかいものが触れた。
唇だとわかった時にはお互い唇同士が重なっていた。
「ん!」
びっくりして目をパッチリ開けたままだ。
謙信様の瞼が持ち上がり、間近で見つめ合う。
謙信「ふっ、お前はいつも口づけの時に目を開けているな。そういう嗜好なのか?」
「そんなわけないじゃないですか!
不意打ちでするからびっくりするんです!」
大体、私が目を開けているのに気づいているなら、謙信様だって目を開けたままキスをする傾向にあるんじゃ……