第33章 蜜月の始まり(R18)
(うぅ、説明するの恥ずかしいな。でも説明しなきゃだし…)
長い指が顎を捉えてゆっくりと上向かせた。
静かに見おろしてくる眼差しに心臓が跳ねあがった。
謙信「どのような策か教えてもらいたい」
「今の私は避妊器具をここに入れてあるんです。
謙信様と触れ合っても子供を孕む確率はかなり低いです」
『ここ』と自分の下腹に触れる。
驚いているのか言葉を発しない謙信様に説明を続けた。
「二人を産んだ後、何故か月のものの出血量が増えたんです。
一人で子供達をお風呂に入れなくちゃいけないし、貧血になるしで、お医者様に相談したところ内服薬を処方されたんです。でも身体に合わなくて…。
だったら違う方法をということで身体に医療器具を入れてもらいました」
謙信「出血はそれで改善したのか?」
心配しているのだろう。優しくお腹を撫でてくれた。
「はい、びっくりするくらい出血が少なくなりました。
それでこの器具は出血量を減らす効果の他に、避妊の効果もあるので、その………」
恥ずかしくて言葉を切る。
いわゆる避妊リングを入れてもらった時は謙信様とは離ればなれだったし、高い避妊効果があると説明されても『そうなのか』くらいにしか思わなかった。
今の状況では凄くありがたい効果だ。
謙信「先ほど子を孕む確率は低いと言っていたが、どの程度だ?」
「一年間使用して妊娠する人は何百人に一人だったと思います。調べても良いですか?」
謙信様が身体に回していた腕を解いてくれたので、ポケットに入れてあったスマホを取り出して調べる。
「500人に1人みたいです。98%を超える高確率で避妊効果があります。何事も100%っていうのは難しいですね」
スマホの画面を見ながら何気なく言った一言に、謙信様の雰囲気が少し変わった。