第33章 蜜月の始まり(R18)
(?)
謙信「俺はお前を抱きたい。だがその前に俺の考えを聞いてもらいたい。その上でお前がどう思っているのか聞かせて欲しい」
『抱きたい』とハッキリ言われて心臓がドキリと音をたてた。
再会して求められた時はタイミング悪く生理初日で、その後は信玄様のことでずっと気が塞いでいてそういう雰囲気にはならなかった。
だから私達の『2回目』はまだだ。
意識すると余計に鼓動が早くなってきた。
謙信「お前となら子を何人得ても良いと思っているし、医学が発達したこちらの世で子を成した方が良いのも重々理解している。
だが今はその時ではないと思っている」
下腹を撫でていた指が髪に潜り込んできて、ゆっくりと梳いてくれる。
謙信「もっとお前と話し、触れ合い、共有したいものがある。
寂しい思いをさせた龍輝と結鈴とも一緒に過ごしたい」
(私と同じ……)
それは私が考えていたことと同じだった。
信玄様の通院は短くとも1年間は続くと言われ、佐助君からは戦国時代に帰るのはその後にと提案があった。
思いのほか現代での生活が長引きそうだと知り、『2回目』をしていない状態で私なりに考えていた。
本当に心から愛している人で、いつかまた子供が欲しいとは思うけど今じゃないと。
妊娠したらまたひどい妊娠悪阻になるかもしれない。
そうなったら現代医療を受けられる今が良いのはわかってる。
でも今は家族4人の時間を大切にしたい。
「私も同じことを思っていました。嬉しいです謙信様」
白い頬を両手で包み、軽い口づけをすると薄い唇が嬉しそうに弧を描いた。
謙信「これからの1年は4人で絆を深めていこう…」
穏やかにそう言ってくれた謙信様だったけど切なげに瞳を揺らした。
謙信「お前の中で果てられぬのは惜しいが仕方ない。
それとも500年後の世には子を望まぬ時、何か術(すべ)があるのか?」
「え、えっと術はいくつかありますが、もう既に対策はとってあります。もともと目的は別だったんだですけど…」
二色の瞳が瞬きを数回繰り返した。