第33章 蜜月の始まり(R18)
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(姫目線)
信玄様は術後の経過は問題ないものの、筋力が衰えていたため、もう少し入院してリハビリに励むことになった。
佐助君に電話でそのことを話すととても喜んでくれて、週末には必ず見舞いに行くと言っていた。
「信玄様が目覚めてくれて良かったですね」
何度そう口にしたかわからない。
でも本当に嬉しくて謙信様に繰り返し言ってしまう。
起きたばかりなのでゆっくりした方が良いだろうと、早めに病室を後にして家路についていた。
後部座席では龍輝(たつき)と結鈴(ゆり)がお気に入りのDVDを夢中で見ている。
謙信「そんなに信玄が目覚めて嬉しいか。
お前は……誰の妻だ?」
後ろの二人には聞こえない小さな声で囁くと、助手席側から謙信様の手が伸びてきて私の太ももを撫でる。
急に与えられた刺激に飛び上がりそうになった。
「!け、謙信様です!」
ハンドル操作を誤らないよう、ぎゅっと握った。
スル…
太ももに置かれた手が内ももの方へ流れるように進む。
(わわわ!)
「あ、危ないですよ」
前は見てる…けど、内ももに感じる感触に意識が集中しそうになり、ハンドルを握る手に汗が滲んだ。
謙信「……」
静かに笑う気配がして手が離れていった。
チラリと見ると謙信様は窓の外を眺めている。その横顔はいつも通りのクールな表情だ。
(なんだろう…)
トクンと鼓動が跳ねた。
何も言われてないし目で語りかけてきたわけでもない。
(でも…、でも……)
予感がした。
――今夜、謙信様は私を……