第32章 眠り王子に祝福の…を
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謙信「いってくる」
仕事から帰ってきて洗濯物を取り込んでいると、謙信様が剣道着姿の結鈴と龍輝がつれて外に出てきた。
「いってらっしゃい!二人共、頑張ってね」
結鈴・龍輝「「はーい」」
謙信様が道場で剣道を教えるようになると、龍輝と結鈴も『やりたい!』と言い出して通い始めた。
少しぶかぶかの道着姿が可愛らしい。
謙信様は剣道のルールなど基礎を教わると、あとは息をするように習得してしまった。
もともと剣術に長けた人であったから敵う人もおらず、むしろ教えて欲しいと乞われたそうだ。
容赦なく厳しい教えにも関わらず、子供から年配の方まで熱心に通う人が増えたと絵美は喜んでいた。
絵美「あんたの旦那、すっごいよ!」
ある日絵美が家を訪ねてきて目を輝かせていた。
「…なにが?」
絵美「竹刀を握った瞬間、すっごいのよ」
「へ、へぇ」
絵美の語彙力が無さ過ぎてわからなかったけど、謙信様は凄いらしい。
『とても強くて格好良い先生が居るらしい』
謙信様の噂はたちまち広がり、道場の生徒が飛躍的に伸びているそうだ。