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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第2章 夜を忍ぶ


不信顔で見られ、怪しまれているのがわかる。
もっと踏み込んでこられるかと身構えたけれど、謙信様は違う質問を投げかけてきた。

それから質問され、答えるというのを何度も繰り返した。
どのくらい時間がたったのか、緊張からくる疲労を感じた頃、


謙信「ときに…」

「はい、なんでしょうか?」


探るように顔を覗き込まれる。
二色の瞳は鋭く細められ、その圧で身動きできなくなる。


(っ、次の質問に誤魔化しは通用しない)


ほんの少しの嘘でも見破られる。そんな直感が頭で警鐘を鳴らしている。


謙信「お前は佐助をおいて国へ帰るつもりなのか?
 それとも、佐助から何も聞いていないが二人で共に帰るつもりなのか?」


(そうか!今こそ誤解をとかなきゃ)


恋仲だと勘違いされていたことを失念していた。
これでは恋人を放って国へ帰ろうとしている薄情な女になってしまう。


「一人で帰るつもりです。まだお互いの意見を確認していませんが、佐助君は越後に残ると思います。
 それで謙信様。佐助君とのことで伝えなければいけない事があるんです。私と佐助君は…」


そう言いかけた時、佐助君の布団が大きく動いた。
掛布団を腕でどかしているのが見える。


「佐助君っ!?」


一旦話を中断して佐助君の傍によった。
少ない明かりでも、佐助君のおでこが汗で光っているのがわかった。


「汗が出てる!熱が下がり始めたのかな」


手ぬぐいを出して汗を拭いてあげた。強張っている背中をさすってあげると、佐助君が吐息をもらした。


(鎮痛効果もあるから背中の筋肉痛にも効くと良いけど)


布団を掛けなおして背中をゆっくりさすり続ける。


「佐助君、大丈夫だからね」


早く元気になって欲しいけれど特効薬がない以上、数日間は熱で苦しむことになりそうだ。
手元にある解熱剤をうまく使いながら、時が過ぎるのを待つしかない。

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