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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第32章 眠り王子に祝福の…を


(あ、れ?)


引き寄せられ、次の瞬間には信玄様の顔が目の前にあった。


信玄「舞、一度だけでいい。
 俺に祝福の口づけをくれ」


からかいの雰囲気は一切なく、どこまでも真っすぐに求められた。


「し、信玄様っ!」


本気で求められているとわかり顔が熱くなった。


信玄「その顔、そそられるな。俺を意識してくれたのか?」

「駄目です!謙信様がっ……」

信玄「しっ」


信玄様の唇が近づき、ちょっとでも動けば触れそうな気配に動けなくなる。

心臓がドクンと音を立てた。


信玄「一度だけでいい。手術の成功を祈る祝福を…俺にくれ」


ほんの数ミリだろう距離が限りなくゼロになり、唇が今にも触れそうだ。

ドキンドキンと心臓がうるさいくらいに鳴っている。

大人の色気を過分に含んだ存在にクラリと眩暈がした。


(どうしようどうしよう?)


間近で目を合わせることが恥ずかしくて目をぎゅっと瞑った。


看護師「三雲さん、三雲 信(しん)さん。
 中へお連れしますね」


バン!と音がして看護師さんが手術室の扉をあけて出てきた。


信玄「残念、時間切れだ」


するりと体を離した信玄様が――本当に、心底…寂しそうに見えた。

看護師さんが車椅子を押して手術室へ入っていこうとする。


「ま、待ってください!」


私は信玄様に駆け寄って体をかがめた。


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