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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第30章 仲直り


かくんと体の力が抜けた。

もうその口から二度と愛の言葉は紡がれないと思っていた。
抱き締めてくれることも見つめてくれることもないだろうと。

越えられないと諦めていた溝が埋まった瞬間だった。


(何も変わってなかった)


私も謙信様も、お互いを想い、愛していた。
時がズレて誤解が生じただけ。

やせ細っていても力強い腕に身を委ねた。


(謙信様……)


朝は再会の喜びを味わえなかった分、今、怒涛のように喜びが押し寄せてきた。


本当に追いかけてきてくださった

本当にここに謙信様がいる

まだ……私のことを忘れず、愛してくださっている

嬉しい

もう、一人じゃない


「っ、~~~~~」


嬉しくて涙が溢れた。

ゆりとたつきが居るから一人じゃなかったけど、成長を見守り慈しむ存在は私しかいなくて、ずっと孤独だった。

安心する腕に包まれて温もりを味わっていると、謙信様の声が降ってきた。


謙信「この腕はお前を抱くために
 この刀はお前を守るために
 この手はお前を愛でるために
 この目はお前をみつめるためにある。

 お前の傍に居なければ俺の腕も刀も手もっ!全て意味をなさないっ!

 会えてよかった。会いたかった、舞。
 もう一生会えぬと思っていた」


腕の中から見上げると、謙信様の目にほんの少し涙が浮かんでいるのが見えた。


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