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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第29章 時のイタズラ


「ねえ、佐助君。私が書いた手紙には妊娠について触れていなかったから仕方ないとは思うけど……」


もやっとした疑問をどう伝えればいいのか、言葉を選ぶ。


「戦国時代で妊娠したんじゃないかって仮説をたてたのはご飯を食べたあと…なんでしょ?
 今朝の時点ではその仮説はなくて、どうして皆が『不義を犯した』って誤解したの?」


それが一番の疑問だった。


再会を喜ぶ暇もなく『不義を犯した』と言われた。

謙信様と深い仲になったのなら、子供の父親が謙信様である可能性だって考えるべきなのに、朝の様子ではそれがまったく無かった。

佐助君は申し訳なさそうに眉を八の字にした。


佐助「ここからは俺から話します。謙信様、良いですか?」

謙信「ああ」


ずっと押し黙ったままだった謙信様の声がして、体がピクリと反応する。

短く発せられた声だけでは謙信様が何を思っているのかわからい。
まだ顔を見る勇気が持てなかった。


(まだ…謙信様が怖い…)


佐助「謙信様が何故『不義を犯した』と勘違いしたのか、それは…」


佐助君は私が居なくなってからワームホールが開くまでの事を話してくれた。
聞き終えて驚きが隠せなかった。


「私が安土を去ってからワームホールが開くまで、半年…?」


佐助君は頷いた。


佐助「ああ、俺達の感覚からすると舞さんが安土を去ったのは半年前の出来事なんだ」

「うそ…私はこっちに来てもう…」


今年の6月でまるまる5年経った。
あの梅干しは子供達の世話が少し楽になった頃に漬けたモノだった。

謙信様が誤解した訳がハッキリわかった。


「『半年前に姿を消した私』を追いかけてきたのに子供が居たから……だから誤解されたんですね」


謙信様にしてみれば私と想いを交わしたのは8か月くらい前の話ということになる。

だからゆりやたつきの声を聞いて『自分の子ではない』と思うのは当然だ。

居もしない夫を想像し、私を信じられなくなったのも……当然だ。


真相がわかり愕然とした。

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