第29章 時のイタズラ
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謙信達は時が来るのを静かに待った。
リビングからは子供の声が賑やかに響き、時々たしなめる舞の声がした。
食事、風呂と続き、今は後片付けの音がしている。
夫が帰宅する気配はなく、舞が絶え間なく動きまわっているのが伺えた。
三人が楽しそうに笑い声をあげる度に、謙信が息を詰め、視線を彷徨わせた。
程なくして舞達が二階の寝室へ上がっていく音がした。
1時間程たった頃、忍び足で階段を降りてくる気配がして、その足音は謙信達が居る和室の前で止まった。
「遅くなって申し訳ありません。リビングの方へどうぞ」
まず佐助が襖を開け、廊下に出た。その後に信玄、謙信と続く。
誰も言葉を発しないまま4人で移動しソファに座った。
舞の正面には信玄。その隣に謙信が、佐助は舞の隣に座った。