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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第28章 秀吉さんがくれたハンカチ


(いけない!考え事してたから…)


しゃがんで手近に落ちている化粧ポーチやスマホを拾い集める。
何人もの人間がすぐ傍を通り過ぎていく。


(通行の邪魔になっちゃう。早くしなきゃ)


一番遠くに落ちたハンカチが風に吹かれて飛んでいった。


「あ、待って!」


薄地の布を翡翠色に染められたハンカチは、城の手伝いをしてくれた礼だと秀吉さんにもらったものだ。

軽い生地なので風にのって飛んでいく。


(どうしよう…待って!)


ハンカチは軽々と道路を飛び越え、信号待ちをしていた三人組の若い男女の元に着地した。


「すみません、そのハンカチっ!私のですっ!」


真ん中に立っていた男の人がハンカチを拾い、落とし主を探している素振りを見せたので声を掛ける。

歩行者用の信号が青に変わるのを待ち、急いで駆け寄った。


「はぁはぁ、す、すみませんじゃなかった。ありがとうございます!」


息を整える間もなく男の人にお辞儀をすると、その人の靴が目に入った。


(わ、お洒落な靴だな。素材はなんだろう)


デザイナーの端くれなのに、ぱっと見で素材がまるでわからない。
海外のデザインのようで、そうじゃない……本当に初めて見る斬新なデザインの靴だ。


男「あ……いえ、どうぞ」


戸惑いがちな声はまだ大人になりきっていない若さがあった。
頭をあげると目の前にハンカチが差し出されている。


「ありがとうございます。とても大事にしていたもの…なの…で……ぁ」


お礼を口にしながら視線を合わせると、不思議な感覚にとらわれた。

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