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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第2章 夜を忍ぶ


謙信「どうやら気づかれなかったようだ。
 いつまでそこに座っているつもりだ、あがれ」

「はい。ここまで連れてきてくださってありがとうございました。たくさんご迷惑をかけてしまってすみませんでした」


謙信様一人なら、もっと早くここに着けたはずだ。
何回も担いでもらったし、走る速さも合わせてくれたと思う。

私を連れ歩く事で見つかる確率も高くなるだろうし、深く考えず『私も連れて行ってください』とお願いしたのを後悔した。


謙信「ふん。多少お荷物が増えたところで問題ない。
 それに女にしては悪い動きではなかった」

「え…?」


聞き返したけど謙信様はそれ以上言わず、部屋にあがっていった。

地下足袋を脱いで部屋に上がらせてもらった。
お鍋の中にはお湯がクツクツと沸騰していて、謙信様はその鍋に水を足している。


謙信「常に湯を沸かし、蒸気が部屋にいきわたるように佐助が言っていたが、合っているか?」


火箸で炭の位置を調整しながら謙信様が訊ねてきた。


「はい。インフルエンザだとしたら、それで合っています。
 空気が乾燥すると感染力が強まるんです。
 時々窓を開けて空気を入れ替えてくださいね」


答えながら佐助君の傍に寄る。
囲炉裏の傍に寝ているのに、近くに火鉢が置いてあった。

謙信様は窓を数か所開けた後、火鉢に炭を足しながら言った。
温まっていた部屋に外の空気がヒンヤリと流れ込んでくる。


謙信「囲炉裏と火鉢で温めてやっても、佐助は酷く寒気を訴えていた」


淡々とした口調で説明しながら佐助君の様子を見ている。


「佐助君」


小さな声で呼びかけてみたけれど、返事はない。
眼鏡を外して仰向けで眠る佐助君に手を伸ばした。


(凄く熱い!)


首元に触れた指が、佐助君の異常な体温をとらえた。
布団の中に手を差し入れてみると、佐助君の体温がこもって熱くなっている。


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